小西施
中国江蘇省宜興市
中国に行ってお茶屋さんにいけば北京でも上海でもすぐに見つかる紫砂の茶器。中国で最も有名な陶器です。その歴史は宋代に遡り、明代には宜興窯の名は広く知られるようになります。
その特長は主に、
1.雑味を吸着し、茶の味を引き立てる
2.保温性が高く、湯を入れて触っても熱くない
3.長く使うと味が出る。養壺という言葉がありますが、長く使うと表面に独特の光沢が出て美しい姿となります。また、内側も茶の成分を吸収し茶の香りを強める。
などが挙げられます。
武松作 小西施壺(赤茶)
西施壺は明代末の紫砂作家、徐友泉が創作したと言われています。徐友泉は非常に有名な時大彬と交流があり弟子にあたる人。紫砂茶壺の世界ではこのように歴史上の大家のデザインが定番として根付くことが多く、それぞれの作家がニュアンスを変えながら受け継いでいます。
ただ、西施壺の場合は歴史というと創作者よりもネーミングの方が注目されます。西施は中国四大美人のひとり、本名・施夷光。西施が河辺に立った際、その影を見た魚が泳ぐのを忘れ沈んでしまったという逸話から、四大美人を表す「閉月羞花沈魚落雁」の沈魚にあたるとされています。越が呉に敗れた後、越の范蠡の計により西施は呉王に献上されます。後に越が呉を滅ぼすと、范蠡は越王は共に苦労はできるが、共に楽しむことはできない人柄だとして、素早く引退し斉へ移り商人として大成功します。西施のその後については、范蠡が連れて斉へ行き共に暮らした、入水した、越王によって落水させられた等、諸説あります。ともあれ、この柔らかな形状が西施を思い起こさせるということでこの茶壺にはこの名がつけられることとなりました。
サイズは60mlと、かなり小さい茶壺となります。
作者は武松氏。1963年生まれ、中国工芸美術学会会員、2009年の宜興全手工大賽で入賞などの経歴をもつベテラン作家です。
茶漉部分は7孔です。
※紫砂壺の容量記載について
紫砂壺以外の器は、形によるものの満水の7〜8割程度が適量ですが、紫砂壺は湯をいっぱいに注いだ後、蓋をして茶をあふれさせるのが基本の使い方です。そのため、あふれた後、蓋を取って残った量を容量として記載しています。
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●容量・重量などの表記について
紫砂壺は、あふれさせて使うという特性上、満水で蓋をして残った水の量を容量としています。それ以外の茶壺は、蓋をせず満水にした量を満水量、使う際に通常入れる程度の量を容量として表記しています。いずれの器も、通常入れる量というのは測定者の主観により多少変動します。容量の他、重量やサイズも、個体差があったり、ロット毎に違いがあったりするため、ある程度の誤差があるものとお考えください。
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