高石瓢竹
宜興の紫砂壺
中国茶器の代表格、紫砂の陶器は江蘇省の宜興市で産する紫砂泥と総称される土を使った陶磁器です。厳密にはせっ(火へんに石)器という高温で焼き締めた吸水性のほとんどない陶器と磁器の中間的な焼き物です。英語ではストーンウェアと呼ばれます。
釉薬をかけていないため表面に茶の成分を吸着し茶の味を高めるとともに、経年により趣のある変化をするとして人気があり、また保温性が高いため主に烏龍茶・プーアル茶を淹れるのに使われます。中国では急須のことを茶壺といいますが、特に紫砂壺(しさこ・ずぅしゃふぅ)の制作においては明の時代から主に自然物をモチーフにした非常に複雑なものまで様々な造形が生み出され、高い芸術性を評価されています。
周向春作・高石瓢竹壺
石瓢壺はもともと清朝後半の高名な作家・陳曼生の代表作の一つです。紫砂茶壺の世界ではこのように歴史上の大家のデザインが定番として根付くことが多く、それぞれの作家がニュアンスを変えながら受け継いでおり、近代の美術大師・顧景舟の石瓢壺も有名です。特徴は上が小さく下が大きい胴、壺嘴は直線的な筒型、蓋のつまみが橋梁型というのが特徴。話がそれますが、石瓢壺を調べているうちに中国ではこの形を金字塔と表すことに気づきました。金字塔というのは後世に残るような業績という意味ですが、勝手に立派な金ピカのタワーをイメージしていました。金の字の形の塔=ピラミッドのことなんですね! こちらは石瓢壺を縦に伸ばした高石瓢壺、壺嘴、持ち手、蓋の橋梁部分に竹の節の造作があり、さらに壺身の表面には竹と竹趣という字が彫刻されています。茶漉し部分は9孔。作者は周向春さん。宜興生まれ、周一民に師事した民間工芸人です。
※手作りのため容量や形など多少の誤差があります。特に彫刻の図案には違いがあります。
※紫砂壺の容量記載について
紫砂壺以外の器は、形によるものの満水の7〜8割程度が適量ですが、紫砂壺は湯をいっぱいに注いだ後、蓋をして茶をあふれさせるのが基本の使い方です。そのため、あふれた後、蓋を取って残った量を容量として記載しています。
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●容量・重量などの表記について
紫砂壺は、あふれさせて使うという特性上、満水で蓋をして残った水の量を容量としています。それ以外の茶壺は、蓋をせず満水にした量を満水量、使う際に通常入れる程度の量を容量として表記しています。いずれの器も、通常入れる量というのは測定者の主観により多少変動します。容量の他、重量やサイズも、個体差があったり、ロット毎に違いがあったりするため、ある程度の誤差があるものとお考えください。
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