品茗杯とその使い方
品茗杯とはお茶を飲むための杯、つまり茶杯のことです。品は味わうという意味、茗は古代におけるお茶の呼び名のひとつで、現在も雅な感じで使われることがあります。
中国茶で使う杯は小さいものが多いと思われる方もいらっしゃると思いますが、これは中国南部の広東、福建省や台湾を中心に、烏龍茶を飲む際、工夫式という淹れ方をする場合の話です。蓋碗で緑茶を飲む場合は100cc〜200ccほどの蓋碗が杯になりますし、ヤカンかと言いたくなような大きい杯でお茶を飲む人もいます。工夫式であれば、蓋碗は茶壺(急須)同様の役割となり、お茶を飲む際はやはり品茗杯を使います。
聞香杯と同時に使う場合は聞香杯のページの説明もご覧いただければと思います。
中国茶は見て楽しむという要素も大きいので、品茗杯は磁器、ガラス、内側に白釉をかけた紫砂など、色を楽しめるようにしたものが多く使われます。
さて、品茗杯の使い方ですが、25〜50ccくらいのものを前提に
1.人差し指と親指で口近くをもち、中指で底を支えます。三本の指で持ち、女性は薬指と小指をやや開いた感じがきれいです。この形を指を龍に見立てて「三龍護鼎」と言います。
2.そのまま親指の上あたりに口をつけるより、すこし手を巻き込むようにして人差し指と親指の間くらいに口をつけると所作が美しくなります。
3.中指でくいくいっと杯の底を持ち上げる感じで杯を傾けると、腕や顔を大きく動かさずに飲めてきれいです。
4.一口目は軽く、二口目は舌先まで吸い込み、三口目はじっくりと味わう。三口で飲むというのは大体共通ですが、飲み方は人によって色々な言い方があるようです。茶聖の陸羽も杓子定規に決まりを守るばかりでなく臨機応変と言っていますので、参考程度に考えていただければと思います。ただ、少し力を入れてすするというのには意味があります。また口に含んだ後更にズッズーと空気を吸い込み茶と混ぜるのも同様です。お茶の品評の際にはこういう飲み方をしますが、この飲み方で鼻の方にまで多くの成分が抜けるようになり、味がよくわかるようになります。風邪で鼻がつまると味がわからなくなるのの反対ですね。効果はかなり大です。茶芸の途中では、音を出してズッズーとはやりませんが。